猫のてんかんとは?原因・症状・発作時の対処法をわかりやすく解説|CBDとの向き合い方も紹介

猫のてんかんとは?原因・症状・発作時の対処法をわかりやすく解説|CBDとの向き合い方も紹介

突然、愛猫が倒れて体をけいれんさせたり、手足を激しく動かしたりしたら、多くの飼い主さんが驚き、不安を感じることでしょう。

「これはてんかんなの?」
「発作が起きたら、どうすればいい?」
「これから普通に生活できるの?」

猫の発作にはさまざまな原因があり、けいれんが見られたからといって、必ずしもすべてが「てんかん」とは限りません。

しかし、発作が数分以上続く場合や短時間に繰り返す場合には、命に関わることもあります。発作が起きたときに慌てず対応するためにも、正しい知識を持っておくことが大切です。

今回は、猫のてんかんの原因や症状、動物病院で行われる検査、治療方法、発作時の対処法についてわかりやすくご紹介します。

※本記事は一般的な情報を提供するものであり、獣医師による診断や治療に代わるものではありません。愛猫に発作やけいれんが見られた場合は、速やかに動物病院へご相談ください。

ー 猫のてんかんとは?

猫のてんかんは、脳の神経細胞に異常な電気的活動が起こり、けいれんや意識の変化、普段とは異なる行動などの発作を繰り返す神経疾患です。

脳は、神経細胞同士が電気信号をやり取りすることで、体の動きや感覚、意識、行動などをコントロールしています。

何らかの原因で電気信号が一時的に乱れると、体が硬直する、手足が勝手に動く、呼びかけに反応しなくなるといった発作が起こります。

ただし、猫にけいれんや意識障害が見られたからといって、すぐに「てんかん」と診断されるわけではありません。

低血糖や中毒、肝臓・腎臓の病気、脳炎、脳腫瘍などによっても、てんかん発作に似た症状が起こることがあります。そのため、まずは発作の原因を詳しく調べる必要があります。

猫の発作は、大きく次の3つに分類されます。

❶特発性てんかん

検査を行っても、発作の原因となる明らかな脳の異常や全身疾患が見つからないタイプです。

遺伝的な要因が関係している可能性も考えられていますが、猫では犬ほど詳しいことが分かっていません。

❷構造的てんかん

脳腫瘍、脳炎、脳血管障害、頭部外傷など、脳そのものに病変があることで発作が起こるタイプです。

❸反応性発作

脳そのものに病変があるのではなく、低血糖、肝臓病、腎臓病、電解質異常、中毒など、脳以外の異常によって一時的に発作が起こる状態です。

反応性発作は、原因となる病気や中毒を治療することで、発作が起こらなくなる場合があります。

猫の発作は、特発性てんかん、構造的てんかん、反応性発作に分類され、脳内の病気だけでなく代謝異常や中毒なども原因になります。

猫のてんかんは珍しい病気?

猫の発作やてんかんは、犬と比べて少ないとされてきました。

英国の一次診療データを用いた研究では、反復性の発作性疾患が確認された猫は1年間で約0.16%、そのうち「てんかん」と診断された猫は約0.04%でした。

発症頻度が低いからといって、発作を軽く考えてよいわけではありません。

特に猫では、脳の病気や全身疾患によって発作が起きている可能性もあるため、初めて発作が見られた場合は早めに動物病院を受診しましょう。

ー 猫のてんかんで見られる症状

猫の発作は、全身が大きくけいれんするものだけではありません。

脳のどの部分で異常な電気活動が起こるかによって、症状の現れ方が異なります。

発作は主に「全般発作」と「焦点発作」に分けられます。

全般発作

脳の広い範囲が影響を受ける発作です。

代表的な症状には、次のようなものがあります。

  • 突然倒れる
  • 意識を失う
  • 全身が硬直する
  • 手足をバタバタと動かす
  • 体が大きくけいれんする
  • よだれや泡が出る
  • 瞳孔が開く
  • 呼びかけに反応しなくなる
  • 尿や便を漏らす

一般的な全般発作は1~2分程度で治まることが多いものの、発作後すぐに普段の状態へ戻るとは限りません。

焦点発作

脳の一部分で異常な電気活動が起こる発作です。

猫では、次のような部分的な症状が見られることがあります。

  • 顔や耳がピクピク動く
  • 片側の手足だけがけいれんする
  • 頭が小刻みに震える
  • 口をくちゃくちゃさせる
  • 舌なめずりや空咀嚼を繰り返す
  • よだれが増える
  • 何もない空中を噛む
  • 突然走り回る
  • ぼんやりと一点を見つめる
  • 普段とは異なる鳴き方をする
  • 急に攻撃的になる

焦点発作では意識が保たれていることもあり、単なる癖や問題行動と間違われる場合があります。

猫の側頭葉に関係する発作では、顔のけいれん、よだれ、口をもぐもぐさせる動き、飲み込む動作などが報告されています。

発作の前に見られる変化

発作の直前に、普段とは異なる行動が見られる猫もいます。

  • 落ち着きがなくなる
  • 飼い主のそばを離れなくなる
  • 隠れようとする
  • 鳴き続ける
  • 不安そうに歩き回る
  • よだれが出る
  • 吐き気があるような様子を見せる

ただし、前兆がまったくなく突然発作が始まることもあります。

発作後に見られる変化

発作が治まった後には、「発作後期」と呼ばれる一時的な変化が見られることがあります。

  • ぼんやりしている
  • ふらつく
  • 飼い主を認識しにくい
  • 落ち着きなく歩き回る
  • 一時的に目が見えにくそうになる
  • 食欲や喉の渇きが強くなる
  • 疲れて眠り続ける
  • 不安や興奮が続く

発作そのものは短くても、普段の状態に戻るまで数分から数時間かかることがあります。

ー 猫のてんかん・発作の主な原因

猫の発作にはさまざまな原因があります。

原因によって治療方法や予後が異なるため、動物病院で適切な検査を受けることが大切です。

脳そのものの病気

脳に異常があることで発作が起こる場合があります。

主な原因には、次のようなものがあります。

  • 脳腫瘍
  • 脳炎
  • 髄膜炎
  • 脳梗塞や脳出血
  • 頭部外傷
  • 先天的な脳の異常
  • 脳の変性疾患

特に中高齢の猫が初めて発作を起こした場合には、脳腫瘍などを含む構造的な病気も慎重に調べる必要があります。

体内の代謝異常

脳以外の病気が原因で、二次的に発作が起こることもあります。

  • 低血糖
  • 肝機能障害
  • 腎機能障害
  • 電解質異常
  • 低カルシウム血症
  • 重度の高血圧
  • 酸素不足

代謝異常による発作では、原因となる病気の治療が重要です。

中毒

猫が有害な物質を摂取したり、皮膚から吸収したりすることで、震えやけいれんが起こることがあります。

注意したいものには、次のようなものがあります。

  • 犬用のノミ・ダニ駆除薬に含まれるペルメトリン
  • 殺虫剤
  • ナメクジ駆除剤
  • 人用の医薬品
  • 有毒植物
  • 洗剤や化学薬品
  • THCを含む大麻製品

特に犬用のペルメトリン製剤は猫にとって有害で、震え、ふらつき、けいれんなどを起こす可能性があります。猫に犬用のノミ・ダニ駆除薬を使用してはいけません。

中毒が疑われる場合は、無理に吐かせず、摂取した可能性のある製品の容器や写真を持って、すぐに動物病院へ連絡してください。

感染症・炎症性疾患

次のような感染症や炎症性疾患が、神経症状や発作の原因となる場合があります。

  • トキソプラズマ症
  • 猫伝染性腹膜炎(FIP)
  • 脳炎
  • 髄膜炎
  • その他の感染症

トキソプラズマ症では、まれに震えや発作などの神経症状が見られることがあります。

特発性てんかん

詳しい検査を行っても明らかな原因が見つからず、発作を繰り返す場合には、特発性てんかんと診断されることがあります。

特発性てんかんの猫は、発作と発作の間には普段どおりに生活し、神経学的検査でも異常が見られないことがあります。

ただし、特発性てんかんは、血液検査や画像検査などで他の原因を除外したうえで診断される病気です。

ー 猫の発作が起きたときの対処法

突然発作が起きても、まずは飼い主さんが落ち着くことが大切です。

周囲の危険なものを取り除く

家具の角、硬い物、割れ物などを猫から遠ざけ、発作中に体をぶつけないようにしましょう。

階段やベランダ、高い場所の近くにいる場合は、転落を防ぐために周囲をクッションや毛布などで保護します。

ただし、発作中の猫を無理に移動させると、飼い主さんと猫の双方がけがをする可能性があります。

無理に押さえつけない

けいれんを止めようとして体を押さえると、筋肉や関節を傷める可能性があります。

危険な場所でなければ、発作が治まるまで静かに見守ります。

部屋を暗くして静かにする

照明を落とし、テレビや音楽を消して、刺激の少ない環境をつくりましょう。

周囲に人やほかのペットがいる場合は、少し離れてもらいます。

発作の時間を計る

発作が始まった時刻を確認し、何分続いたかを計測してください。

発作を見ていると実際より長く感じることがあるため、時計やスマートフォンで正確に計ることが大切です。

可能であれば動画を撮る

安全を確保したうえで、発作の様子を動画で記録します。

全身だけでなく、顔、手足、目、口元などが映ると、診断の参考になります。

5分以上続く発作は「てんかん重積状態」と呼ばれる緊急事態に該当する可能性があります。短時間に複数回起こる群発発作も、早急な治療が必要です。

発作が治まっていても、初めての発作であれば当日中に動物病院へ相談することをおすすめします。

ー てんかんのある猫が安全に暮らすための工夫

発作を繰り返す猫には、治療だけでなく、日常生活の安全対策も必要です。

高い場所からの転落を防ぐ

発作中にキャットタワーや家具から落下すると、大きなけがにつながる可能性があります。

頻繁に発作が起こる場合は、高い場所への移動を制限したり、床にクッション性のあるマットを敷いたりするとよいでしょう。

ベランダや窓を安全にする

発作後は混乱して歩き回ることがあります。

ベランダや窓には脱走・転落防止対策を行い、網戸だけに頼らないようにしましょう。

水場に注意する

浴槽や深い水の入った容器に落ちると危険です。

入浴後は浴槽の水を抜き、トイレのふたを閉めるなど、溺れる可能性のある場所を確認しましょう。

静かに休める場所をつくる

発作後の猫は、光や音に敏感になったり、強く疲れたりすることがあります。

薄暗く静かな場所に、安心して休めるベッドや毛布を用意してあげましょう。

規則正しく薬を与える

抗てんかん薬は、決められた時間に継続して与えることが重要です。

スマートフォンのアラームや投薬記録表を活用すると、飲み忘れを防ぎやすくなります。

飲み忘れた場合にまとめて与えてよいとは限らないため、対処方法をあらかじめ獣医師に確認しておきましょう。


ー 猫のてんかんとCBDについて

近年、CBD(カンナビジオール)がペットの健康維持をサポートする成分として広く活用されています。

CBDは、犬や猫の体にもともと備わっている**エンドカンナビノイドシステム(ECS)**に働きかけ、体内のバランスを整えることに関わると考えられています。

人の医療では、難治性てんかんに対するCBD製剤が医薬品として承認されており、その研究をきっかけに獣医療の分野でもCBDへの関心が高まっています。

現在、猫のてんかんに対する臨床研究はまだ限られていますが、獣医師の管理のもとで、日々の健康維持や生活の質(QOL)の向上を目的とした補助的なケアとして取り入れられるケースもあります。

ー 猫用のCBDオイルを選ぶ際のポイント

CBDオイルは、製品によって原料や濃度、品質管理の方法が異なります。大切な愛猫に使用するものだからこそ、価格やCBDの配合量だけでなく、安全性や品質を確認して選びましょう。

❶ THCを含まない製品を選ぶ

CBDと同じ大麻草由来成分であるTHCには、精神作用があります。動物がTHCを摂取すると、強い眠気やふらつき、尿失禁、過敏反応などの中毒症状が現れる可能性があります。

猫に使用する場合は、THCが含まれていないことを確認できる製品を選ぶことが重要です。

パッケージに「THCフリー」と記載されているだけでなく、第三者機関による成分分析でTHCが不検出であることを確認できる製品であれば、より安心して選びやすいでしょう。

❷ 第三者機関による検査結果を確認する

信頼できるCBD製品を選ぶ際は、メーカーとは独立した第三者機関による検査が行われているかを確認しましょう。

検査結果では、次のような項目を確認します。

・CBDが表示どおりに含まれているか
・THCが含まれていないか
・農薬や重金属などの有害物質が検出されていないか
・製造ロットごとの品質が管理されているか

CBD製品では、農薬、重金属、THCなどの混入が品質上の問題となる可能性も指摘されています。そのため、成分分析証明書などを公開している製品を選ぶことが大切です。

❸ CBDの含有量と1回分の量が分かりやすい製品を選ぶ

CBDオイルは、製品によってボトル全体のCBD含有量や濃度が異なります。

「CBD○mg配合」という表示だけではなく、1滴、1プッシュ、または1mlあたりに何mgのCBDが含まれているかを確認しましょう。

1回分のCBD量が明確な製品であれば、愛猫の体重や体調に合わせて量を調整しやすく、与えた量を正確に記録できます。

❹ 原材料が明確で、シンプルな製品を選ぶ

CBD以外にどのような原材料が使われているかも確認しましょう。

また、使用しているオイルや原料の産地、製造方法が明確な製品を選ぶことが大切です。

人用のCBD製品には、猫に適さない香料や甘味料、そのほかの成分が含まれている可能性があります。猫に与える場合は、動物への使用を前提として設計されたペット用製品を選びましょう。

❺ 品質管理や製造元が明確な製品を選ぶ

CBDオイルは、毎日の健康管理に継続して取り入れることもある製品です。

原料の調達先や製造元、問い合わせ先が明記されているか、ロットごとに品質を管理しているかなども確認しましょう。

製造工程や検査体制を公開し、製品についての質問に対応できるブランドを選ぶことも、安心につながります。

❻使用前にかかりつけの獣医師へ相談しましょう

CBDは、てんかんの治療薬や抗てんかん薬の代わりになるものではありません。

すでに抗てんかん薬などを服用している場合、CBDが薬の代謝や作用に影響を与える可能性があります。自己判断で薬を減らしたり中止したりせず、CBDの使用前に必ずかかりつけの獣医師へ相談してください。

使用を始めた後も、眠気、ふらつき、食欲の変化、嘔吐、下痢や軟便などが見られないか、愛猫の様子をよく観察しましょう。

CBDは病気を治す薬ではありませんが、品質の確かな製品を適切に取り入れることで、愛猫の毎日の健康維持や穏やかな暮らしを支える選択肢の一つになります。

ー まとめ



猫のてんかんや発作は、突然起こることがありますが、
発作の様子を正しく観察し、早めに原因を調べ、適切な治療と生活環境の工夫を続けることで、穏やかな毎日を送れる猫も少なくありません。

愛猫の小さな変化を見逃さず、その子に合った治療とケアを続けていきましょう。

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